くわたしどもの希望しますのは、みなさんは長途《ちょうと》のお疲れもあることとて、すべての心配と危惧《きぐ》をすててとうぶんはゆっくりとお好きなものをたべ、お気にいったところを散歩して、健康を回復していただきましょう。そのうえで、わたしたちはさらに新しいことをお話いたすでありましょう。とにかく、みなさんの生命はぜったいに安全なのでありますから、安心していただきます」
「なぜ、わしらを大切に扱ってくれるのかね。あとで請求書がくるんだろう。こわいね」
「あははは。なかなかきびしいおことばです。そうです。みなさんがじゅうぶんに元気になられたら、わたしどもはみなさんがたに、ぜひ相談にのっていただきたいことがあるのです。それはなんであるか。ただいまは申しません」
「やっぱり、そうだったか。丸々と太ってから、おまえの肉をたべさせろというのだろう」
「トミー。酔っていても、ことばをつつしみたまえ」テッド隊長が聞きかねて注意をした。かれもじつは、さっきからトミーとガンマ和尚の対話に熱心に耳をかたむけていたのだ。
「ああ、いいですとも。わしは何も気にしていませんから。さあさあ、みなさんどうぞ盃《さかずき》
前へ
次へ
全239ページ中153ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング