さんもいた。婦人の搭乗者もあると見える。
「どうかなあ。この救援は成功しまいとおもうよ。第一、宇宙はあまりに広いんだ。……それにね、去年の春あたりからこっちへ、ひんぴんとして行方不明の宇宙艇があるじゃないか。わしのにらんだところによると、宇宙のどこかに、兇悪《きょうあく》な宇宙の猛獣とでもいうべき奴がひそんでいて、みんなそれに喰われてしまうんだどおもうよ」
禿げ頭のスミス老人が杖をふりまわしながら、花束を持った四、五人の老婦人を相手にしゃべっている。
「まあ、宇宙の猛獣ですって。またスミスさんのホラ話がはじまったよ」
「なにがホラ話なもんか。わしはきのう、その宇宙の猛獣をつかう恐ろしい顔をした猛獣使いを見つけたんだ。わしは相手に知られないように、こっそりと、その恐ろしい奴のあとをつけていったが――ややッ」
スミス老人は、きゅうに話を切って、おどろきの声をあげた。そのときそばを、顔を緑色のスカーフでぐるぐる巻きにした目のすごい怪しい男が、松葉杖にすがりながら、通りすぎた。
自称《じしょう》金鉱主《きんこうぬし》
スミス老人は、おしゃべりを忘れてしまったかのように、口を
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