いた。歩くことだけでじゅうぶんうれしいところへもってきて、うつくしい商店のならぶ町を見、ただで手にはいるというおいしそうな果物や菓子をながめ、まったく夢のなかにいる感じだった。
大宴会場キング・オブ・スターズは、すぐ目のまえに高くそびえて、昼間だというのに、七色のうつくしい光りの束《たば》でかざられ、テッド博士以下を歓迎するという光りの文字がつづられては消え、消えては綴《つづ》られた。会場へはいっていくと、たえず頭のうえに案内人の声がして、一同は席につくまで、すこしもまごつくことがなかった。その大食堂というのが、これまた変っていて国技館のように円形になって卓がならび、そして外側は高く、内側へいくほど低くなっていた。
どこで調べたものか、隊員たちの名まえがはっきりと席の上にカードにしるしておいてあった。そこで席についてみるとふしぎなことがわかった。隊員たちは一つの空席をおいてとなり合って席をとるようになっていた。
「みょうなことをしたもんだね。間に一つずつ空席があるじゃないか。そっちへ席をうつして、きみのとなりへすわることにするよ」そういって隊員のひとりが、じぶんの席をたたいて、友だ
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