歩くことができるなんて、こんなうれしいことはなかった。それは招待日の当日は病人がひとりもなくなったことによっても知れる。
そのまえに、三根夫少年はみんなから引《ひ》っ張《ぱ》り凧《だこ》だった。三根夫が一日はやく怪星ガンの町を見てきているので、町のようすについて三根夫はくわしく答えることができた。
「いろいろなものを売っているんだよ。たべものやのみものや服のない者は、ただで買えるんだ。そうでないものは金をださないと買えない。それからね、ガン人はたくさん歩いているらしいんだが、ぼくらの目にはまったく見えないんだ。これには面くらうよ。それからガン人たちはぼくらより高等な人間らしいところもあるけれど、地球の上のことをじゅうぶんに知っていないらしい。だから、ぼくの持っていた南京鼠《ナンキンねずみ》をガン人が見て非常警報をだしたくらいだ」
「へえーッ、あきれたもんだね。うわッはッはッ」
「はやく町へいってみたいなあ。出発はまだかしらん」
出発命令がでて、一同はぞろぞろと艇を出、横にのびた橋を渡り、れいの光る高い塔をおりていった。そして町へはいった。
みんなは、小学生の遠足のようにはしゃいで
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