に大丈夫ですか。わたしに危害をくわえるようなことはありませんか。魔ものではないのですね」
「そうだとも。いまもいったように、地球の世界では、みんなにかわいがられている一番おとなしくて、かしこい動物なんだ。ナンキンねずみというのだよ。三根夫が飼っていたのだ。それがさっき籠からにげだしたのだ。見ていたまえ。三根夫があの南京ねずみをつかまえたら、きみのために、いろいろとおもしろい芸当をあの南京ねずみにさせて見せてくれるだろう。そのときは腹をかかえて大笑いをしたまえ」
「そうですか。ほんとですか」ハイロの声は、安心のひびきを持っていた。
宇宙戦争の心配
テッド博士一行は、そこをひきあげることにして、サミユル先生にあいさつをのべた。
「では先生、またお目にかかりましょう。一度わたしの艇までおいでを願いたいと思いますが、いかがでしょう」
「ありがとう。それは相談をしたうえのことにしましょう」
「誰に相談なさるのですか」
「そりゃきみ、わかっているだろう」サミユル老師《ろうし》は悲しい目つきをした。
そこでテッド博士は、心ひそかに思った。
(なるほど。この怪星ガンの国は、われわれに
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