「なにをしていたの」テッド隊長は三根夫にたずねた。そこで三根夫は、ありのままを答えた。
この町の衣食住にかんするものはすべて無料であるとわかったことも話した。
「それはけっこうだ。しかし、いらないものまで買わないほうがいいね」
と、かるくいましめた。人間は慾が深くていらないものまでかきよせるくせがある。無料で、衣食住にかんするものを市民にわけているこの町では、おそらく市民たちがひつようなものだけを手に入れ、いますぐにひつようでないものはほしがらないから、このように生活費が無料になっているのであろうと、テッド隊長はさっしたのであった。一行は、またおなじ方向を歩いていてだれにも衝突しなかった。たいへんふしぎである。よく考えてみると、こっちからは怪星ガン人の姿が見えないが、はんたいにガン人のほうからは三根夫や帆村たちの姿がよく見えていて、ガン人のほうで道をゆずるから、突きあたることもないのであろうとも思われるのだった。
サミユル博士の家へついた。それは原のなかに一つさびしく立っている四角な白い建物だった。外から見ると、かざりもなんにもない殺風景《さっぷうけい》な建物であったが、玄
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