は、入口の扉を注意して見ていたまえ。ひとりでに、開いたり閉まったりしている。風もないのに、へんじゃないか。あれは、ぼくたちには見えないけれど、客がさかんにあそこから、でたりはいったりしているんだと解釈できやしないか」
「それは、りっぱな推理ですよ。きっと、それにちがいありません。なぜ、姿の見えない人間――人間でしょうか、とにかく、どうしてそんな姿の見えない者がたくさん動いているのでしょうか」
「それはかんたんにわかるじゃないか。この町の住民たちなんだ。つまり怪星ガン人だ」
「怪星ガン人? ああそうか。怪星ガン人は姿が見えないんですね。そういえば、あのなんとか和尚《おしょう》という人も、姿を見せなかった。みんなどうして姿が見えないんでしょうか。くらげみたいに、透明なんでしょうか」
三根夫の頭のなかには、たくさんの疑問がわいてきて、とまらなかった。
「それは大きい謎だ、その謎がとけると怪星ガンの秘密もすっかり解けてしまうのだろう。ぼくたちは、これから推理の力をうんと働かせて、一分でもはやくその謎を解いてしまわなくてはならない」帆村の顔には、真剣な色がうかんでいた。
五分間の機会
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