すだろうとさえいわれる。
うつくしい流線形をした巨体。後部には、軸《じく》に平行に十六本の噴気管がうしろへ向かって開いている。
頭部の一番先のところが半球形の透明壁《とうめいへき》になっていて、その中に操縦室がある。その広さは十畳敷ぐらいあるというから、このロケット艇はかなりの巨体であることがわかろう。
出発のときは、胴体から引込《ひきこ》み式の三|脚《きゃく》をくりだして、これによって滑走《かっそう》した。そのとき、やはり胴体から水平翼《すいへいよく》と舵器《だき》が引き出されて、ふつうの飛行機とどうように地上を滑走した。
もちろんプロペラはないから、尾部《びぶ》からはきだす噴気《ふんき》の反動によって前進滑走した。そしてある十分なスピードにたっしたとき、艇は空中に浮かびあがり、それから、足と翼と舵器とをそろそろ胴体のなかにしまいこむ。
一等むずかしい仕事は、スピードをだんだんあげていくその調子であった。スピードをそろそろあげていたのでは、目的地へたっするのにたいへん年月がかかって、搭乗員《とうじょういん》はみんな老人となり、ついにはみんな死んでしまわなくてはならない。
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