て乗りこんできたのでしょうか」
「ミネ君は、このところ、いやに神経過敏《しんけいかびん》になっているね。それはよくないよ。もっとのんびりとしていたほうがいい」
「だって、こんなふしぎな目、おそろしい目にあって、えへらえへらと笑ってもいられないですよ」
「とりこし苦労はよくないのさ。ぶつかったときに、対策を考えるぐらいでいいのだ。一寸さきは闇というたとえがある。先のところはどうなるかわからないんだから、それを悪くなった場合ばかり考えて、びくびくしているのは、神経衰弱をじぶんで起こすようなもので、ためにはならないよ」
「じゃあ、あの扉をあけて、外に立っている怪星ガンの人間の顔を見たうえで、対策を考えろというんですか」
「それくらいでも、この場合は、まにあうのだ。なにしろぼくたちは、すっかり自由というものをうばわれているんだから、ふつうの場合とちがうんだ。とにかく相手は、あのようにていねいなことばで呼びかけているんだから、ぼくたちを殺すとかなんとか、そういう乱暴は、すぐにはしないだろう」
 そういっているとき、テッド隊長が、帆村のほうへ声をかけた。
「帆村君。いまみんなの意見を集めているんだ
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