え、しゃべっていますか。どうせ怪しい奴のいうことだ、ろくなことではあるまい」
 出入口当直員は、耳をすまして、扉のむこう側の声を聞きとろうとした。
 と、そのとき、外の声が一段と大きくなった。
「この扉を開いてください。お話したいことがあります」
 そういうことばが、いくどもくりかえされていることがわかった。
 ていねいなことばだ。しかしいったい何者がしゃべっているのだろう。
 その声は、司令室や操縦室の高声器《こうせいき》からもはっきりでていたので、いあわせた者は、みんなそれを聞くことができた。
「帆村のおじさん。本艇の外へやってきたのは誰でしょうね」
「誰だと思うかね」
「あれじゃないでしょうか。ほら、おそろしい顔をしたガスコ。ギンネコ号の艇長だといって、きのうここへはいってきたあのいやな奴」
「そうではないと思うね」
 帆村は三根夫の説にはさんせいしなかった。
「おじさんは、誰だと思うんですか」
「怪星ガンの住人《じゅうにん》じゃないかと思うね」
「えっ、怪星ガンの住人ですって。それはたいへんだ。いよいよぼくらを牢《ろう》へぶちこむか、それとも皆殺しにするために有力な軍隊をひきい
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