しっかりした建造物がある。いよいよふしぎだねえ」
「まるで謎々ですね」
「そうだ、謎々だ。しかし、この怪星ガンの構造がどうなっているか。その謎をとくには、もっともっといろいろ観察をして、条件を集めなくてはならない」
「ぼくは、なにがなんだか、さっぱりわけが分らなくなった。くるなら、こい。なんでもこい、よろこんで相手になってやる」
 三根夫は、かたい決心を眉《まゆ》のあいだに見せて、ひとりごとをいった。


   扉をたたく者


 そのころ、怪塔の頂上から横にのびていた籠型《かごがた》の高架通路《こうかつうろ》のようなものが、ぴったりとこっちのロケットの横腹に吸いついた。それは、わが司令艇の出入口の扉のあるところだった。
 その扉が、どんどんと、外からたたかれた。そこに当面していた乗組員たちは、ぶるぶるッと身ぶるいした。かれらは、さっそくこのことを司令室の隊長テッド博士のところへ報告した。そして特別のマイクを、扉のところへもっていって、外からたたかれる音を、テッド隊長の耳に入れた。
「おわかりになりますか。隊長。あのはげしい音を……」
「よくわかる。外で何かしゃべっているようだね」

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