のが、下のほうからこっちへ伸びてきますよ。あれはなんでしょう」
光る怪塔《かいとう》
光った棒のようなものが、下のほうからこっちへ伸びてくるとは何事であろう。
三根夫少年が指すテレビジョンの映画へ、隊長以下の視線があつまる。
ほんとうであった。たしかに光る棒が下方から伸びあがってくる。春さきの筍《たけのこ》が竹になるように伸びてくるのだった。
それまでは四方八方が暗黒だったから、テレビジョンの幕面にはなんの明かるいものも見えなかった。ところがいま、三根夫の発見により、はじめて艇外に、目に見えるものが現われたのである。
「なんだろう。やっぱり棒かな」
「棒ともちがう。割れ目のようでもある」
「割れ目? なんの割れ目」
「割れ目ができて、となりの空間のあかりが割れ目からさしこむと、あのようになるではないか」
「なるほど」
「ちがう。光りの棒でも割れ目でもない。光る塔だ」
「光る塔! なるほど塔みたいだ。そうとう大きなものだ。しかし宇宙のなかに塔があるとは信じられない」
「だめだ、そんな風に、地球上だけで通用する法則だけにとらわれていては、この大宇宙の神秘はとけないです
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