員たちは、あらゆる場合を考えて、この謎を解こうとしたが、謎はさっぱり解けない。
テッド博士も、さすがにこれにはこまって、腕をこまぬいてうなるばかりだった。
(この異常現象はどういうわけで起こったか。それがわからないうちは処置なしだ)
博士は、その異常現象が、九台の救援ロケットの破壊をすくったことさえ知らなかった。
「あッ、ふしぎだ。空から星が消えていく。隊長、あれをごらんなさい」
叫んだのは帆村荘六だった。
操縦席のまえの硝子《ガラス》窓をとおして、無数の星がきらきら輝いているひろい大宇宙が見えていたが、その星が、左のほうからだんだん消えていくのであった。まるで大きなひさしが天空を横にうごき、星の光りをかくしていくようであった。
すわ、大異変!
暗黒化
「おお、なるほど。星の光りがだんだん消えていく」
テッド博士もおどろいた。いったい星の光りをさえぎっているものはなにか。
「なにかしらんが、大きなひろいものが星と本艇の間にあって、星の光りをさえぎっていくのですね」
帆村の声が、いつになくうわずっている。かれはなかなかおどろかない男だが、きょうばかりは大おどろきの中にほうりこまれているらしい。
「そうだ。通信当直。レーダーで調べてみるんだ。あのおそろしいじゃまものはいったい何だかわかるかね。あれは本艇から、どのくらいの距離にあるのか、すぐ調べてくれ」
テッド博士は叫んだ。
「だめなんです、隊長」
「だめとは何が?」
「今、ご報告しようと思っていたところですが、いますこしまえから、とつぜん僚艇との連絡通信が不可能になりました」
「やッ」
「こっちからいくら電波をだしても、僚艇から応答なしです。じつはレーダーもはたらかしてみました。ところが、これもだめなんです。つまり本艇の電波通信はさっぱり用をしなくなりました」
「レーダーも応答なしか」
「はい。困りました」
「困ったね。そしてわけがわからん。おお、ポオ助教授。きみにわかるかね、本艇の電波通信が用をしなくなった理由が……」
テッド博士は、そばにポオ助教授が立っているのに気がついて、そういってきいた。
「ちょうど、非常にひどい磁気嵐《じきあらし》にでもあたったようですね。しかしいまのところぼくにも本当のことはわかりません」
助教授も、さじをなげた。
その間にも、帆村は、星の光りが消えてい
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