ぶせた。それから操縦室の床にある自動開扉《じどうかいひ》の釦《ボタン》をおして、床がぽっかりと穴があくと、その中へ少佐の身体を押しこんだ。
すぐその外に、まっ暗な空があった。漂流器にはまった少佐の身体は、ついに艇をはなれた。艇は、ものすごい落下速度がついているので、頭部を下にして急行列車のように少佐のそばをすりぬけて下へ落ちていった。
それから十五分の後、おそるべき第二の大爆発が起こって、第六号艇は無数の火の玉と化して空中にとび散った。
椿事《ちんじ》の原因をとらえた倉庫員森もまた、その火の玉の一つとなったことであろう。
救う者、呪《のろ》う者、魔力をふるう者。
大宇宙を舞台に、奇々怪々事はつづく。……
危機一歩まえ
三根夫少年も帆村荘六探偵も、第六号艇のいたましい最後を涙とともに見送った。
「おじさん。第六号艇は自然爆発したのでしょうか。それとも誰か悪い人がいて爆発させたのでしょうか」
三根夫は、どうもようすがあやしいので、帆村にたずねた。
「さあ。いまのところ、どっちともわからないが」
と帆村探偵は首を横にふり、すこし考えているようすだったが、
「うむ、そうか。これは気をつけないといけない」
といって、顔色を白くした。
「やっぱり悪人がいるんですか」
「うむ。ミネ君にいわれて気がついたんだが、六号艇の爆発した中心部だね、その中心部の位置を考えると、どうしても自然爆発が起こったとは思われない。あそこはぜったい安全な場所だった。……だから、時間の関係から考えても、これは時限爆薬《じげんばくやく》で爆発させられたものと見て、まずたいしたまちがいはないだろう」
さすがは名探偵だ。
爆発がどの場所に起こったかを見落としはしなかった。そして爆発の場所から考えて、それは自爆でなく、他人の陰謀によってこの大惨劇《だいさんげき》がひきおこされたことを推理したのだ。
このことは、あとに六号艇の艇長ゲーナー少佐が救助されたけっかはっきりした。
空間漂流器に身体をまかせて、極寒《ごっかん》のまっくらな空間をあてもなくただよっていた六号艇の乗組員たちは、六名の犠牲者をのぞいて、全部僚艇に助けられた。
そのうちの一名は、みずから艇とともに運命をともにした倉庫員のモリであり、他の五名は、六号艇が爆発したとき、すごい勢いでまわりに飛び散った艇の破片《は
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