ら、両君にちからを貸してくれるようたのんだのです。地球人類をおさえるのには、やはり地球人類にたのむのが一等いいのです。そのけっかわしたちの希望どおり、ガスコは、取りおさえられました。もうあいつは、アドロ彗星へ連絡することはできなくなりました。だが、お気の毒に両君とも、だいぶけがをしました。われわれは地球人類の傷の手当をするのにじゅうぶんの自信はないのです。ゆえに、両君をいそいでお連れしたわけです。はやく手当をしてあげてください。それから、われわれは両勇士およびあなたがたに、大きな感謝をささげるものです」ガンマ和尚は、ロナルドとスミスの働きについてそう語った。
両人は、すでに別室で医局員の手で手当がくわえられつつある。ガスコが死にものぐるいで刃物をふりまわしたので、両人は身体にたくさんの斬《き》り傷《きず》をうけていた。しかしさいわいに急所ははずれている。両人は、ガンマ和尚に協力することよりも、すこしもはやくサミユル博士のところへいって、連絡任務をはたしたかったのだ。しかし、ガンマ和尚たちの命令をきかないわけにいかなかった。そこでガスコと決闘したのである。こんな傷を負い、連絡にいけなくなって申しわけないと、両人は、手当をうけながらわびた。ガンマ和尚は、二勇士についての報告と感謝をすませたあとで、あらたまった態度でテッド隊長に相談をもちかけた。
「わがガンマ星が非常なる危機に立っていることは、もうごぞんじのとおりです」和尚はガンマ星という名称を使った。
「たぶんこんどはアドロ彗星の攻撃から抜けだすことはできないでしょう。しかしわれわれは、最後まで宇宙の賊とたたかう決心です。アドロ彗星には正義感というものがすこしもないのです。強大にはちがいないが、ゆるしておけない巨人です」
「アドロ彗星というのは、天然の彗星なんですか。それともこの怪星ガン――いや、失礼しました、ガンマ星のごとく、人工的に建造された星体《せいたい》なのですか」
「やはり人工的の星です。いまこの近くの宇宙において、人工的自動星がすくなくとも四、五万はとんでいるようです。アドロ彗星は、その中の一番巨大なやつで、銀河の暗黒星雲《あんこくせいうん》あたりからでてきたすごいやつです」
「ははあ、なるほど」テッド隊長は思わずため息をつく。
「そこでテッド博士。おり入ってお願いしたいことがあります。それはあなたがた地
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