に、ほおえみを見せて、テッド博士にきく。
「わたしたちは、先生のご一行を救援するためにこっちへやってきたのです。不幸にして、このとおり怪星ガンの捕虜となってしまい、われらの目的ももう達せられないかとなげいていましたのに、とつぜんここで先生にお目にかかるなんて、ふしぎというか何というか、びっくりいたしました」
 テッド博士の話を老探検家はうなずきながら聞きとった。そして強く博士の手をにぎりかえした。
「ありがとう。よく捜しにきてくれた。これまでに苦労をたくさんかさねたことだろう。くわしい話を聞きたいが、わしの家まできてくれないか」
「はい。どこへでもおともをします。あ、それからご紹介します。これが隊員のポオ助教授。それからケネデー軍曹。帆村探偵、三根夫君です。どうぞよろしく」
「おお、みなさん、よくはるばるきてくだすって、ありがとう。隊員もどんなによろこぶことでしょう」サミユル博士のことばに、三根夫は、
「先生。すると、『宇宙の女王《クィーン》』号にはいっていた隊員は、みんな無事なんですか」
 と、きけば、博士はちょっと表情をかたくし、
「まあ、いまのところ無事です。もっとも、一時は隊員のはんぶんが重傷を負うやら、なかには死ぬ者もあったが、いまはみんな元気です。このことはあとでゆっくり、お話しよう」
 と、ここではそれから先のことを話したがらなかった。一同はサミユル博士の家のほうへ歩きだした。三根夫は、目をみはり、耳をそばだてて、町の両側に注意し、いきあう人にも注意した。
 広場といい、道路といい、地球のうえで見る広場や道路にかわらないようであった。道路の両側にならんだ店や家も、地球の上で見るそれらとあまりかわったところがなかった。もっとも店は、たいへん美しく飾りたてられてあり、商品は豊富であった。料理店が店頭にかかげてある料理の品目も、おなじみなものばかりだった。だが、三根夫は、ついにかわったことを発見した。
「ねえ、帆村のおじさん。このへんの店は、へんですね」
 帆村に話しかけた。帆村はにやりと笑って三根夫を見おろした。
「何に気がついたのかね」
「だって、へんですよ。店には、だれも店番をしている者がないじゃありませんか。どの店もそうですよ」
「なるほど。それから……」
「それから? まだ、へんなことがあるんですか」
 三根夫は小首をかしげて考えこむ。
「ああ、そ
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