大江山課長は、かざりけのない態度で、その時の苦しい立場を説明し、
「そこで、あなたにお願いというのは、蟻田博士を病院から出して、博士の屋敷へお帰ししますからしばらく博士の様子を見てくれませんか」
「はあ、様子を見ろとおっしゃいますと、どういうことですか」
 新田先生は、課長の言う意味を問いただした。
「ああ、それは、こういう意味です。実は、われわれは、蟻田博士の言われることは、ありもしないことだと思っていたのです。しかし、こういうことになって、火星のボートか何か知らないが、ともかく妙なものが、やって来たり、飛んでいってしまったりするものですから、博士の言うところを、もう一度考え直してみなければなりません。そこで幸い、あなたが博士の門下生だということですから、あなたにお願いして、それを調べていただきたいのです」
 と言って、課長は、ためいきをつき、
「こういう天文学のことなどになると、われわれ素人には、ほんとうのことか、うそのことか判断がつきませんのでね」
 と、苦笑いをした。
 新田先生は、大きくうなずいて、
「よろしい。そういうことなら、僕もおよばずながら、それをやってみましょう。そ
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