れわれの参考になります」
と、大江山課長は一向こだわる様子もなく、新田先生の話を喜び、
「だが、そうなると、これまでわれわれが、蟻田《ありた》博士の予言をばかにしていたことが、後悔されて来ますよ。私は、博士が変になったんだろうとばかり思っていたが、これは、改めて考え直す必要がある」
「蟻田博士は変ではないはずです。僕も、むかし教わったことがあって、よく知っています」
「ほう、あなたは、蟻田さんの門下だったんですか。これはふしぎな縁だ。そういうことなら、あなたに一つ、お願いしたいことがあるんだが……」
 課長は、ちょっと言いにくそうに、あたりを見廻した後、
「新田さん、怒っちゃあいけませんよ。実は私たちは、蟻田博士が変だと思ったので、極秘のうちに、博士を病院に入れてあるのです」
「えっ、博士を、……」
「何しろあのとおり、火星兵団さわぎをまきおこした本人のことですから、帝都の治安取締上、そういう非常手段をとらないわけに、いかなかったのです」
「ああ、僕は新聞で読んで、蟻田博士が御自分で家出をして、行方不明になってしまったことと思っていましたが……」
 と、新田先生は、ため息をついた。
 
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