めしていた方のようでしたが……おつむりなども、きれいさっぱりと禿げておられましてね」
 それを聞いて、大江山課長は、苦笑した。そうして課長は、新田先生の耳のそばへ口をよせると、低い声で、
「いや、はげ頭は、あれは、私が変装していたんですよ。初めて人に会う時は、相手がどんな人かわからないから、あのように変装してお目にかかることにしているのですよ。私は、あんな禿げ頭の年寄ではありません。どうか、よく見直してください。はははは」
 両国駅頭で、大江山課長と禿頭問答をやった新田先生は、急になんだか和やかな気持になった。
「大江山さん。僕はいま千二少年の父親をみまって、東京へ帰って来たところですが、あの千蔵さんは大怪我をしていますよ」
「そうだそうですね。それを聞いたので、私たちもこれから、あっちに出かけるところだが、あなたに先手をうたれたわけですね。それで、何かへんな噂を聞かなかったですか」
「ああ聞きました。火柱の一件でしょう」
 そこで新田先生は、千蔵のうわごとについて話をした。そうして自分の考えを、みんな課長の前にのべたのであった。
「ふん、そうですか。よく聞かせてくだすった。たいへんわ
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