れについては知らなかった。
10[#「10」は縦中横] 異常現象《いじょうげんしょう》
新田先生は、東京へ引返した。
そのわけは、千二の父親が、真夜中に天狗岩のそばで見た火柱というのが、どうやら「火星のボート」と言われた怪ロケットの出発するところだったらしいので、さっそくこれは東京へ帰って、別な方面から調べたがいいと思ったからである。
両国駅のホームで電車から下りた新田先生が、階段を下りて外に出ようとした時、
「やあ新田さん、どうしました」
と、声をかけられた。
その声のする方をふり向いて見ると、そこには背広服の紳士が立っていて、やあと帽子を取った。
「やあ――」
と、新田先生は挨拶を返したが、その紳士の顔は、どこかで見たおぼえがありながら、どうも思い出せなかった。
「はて、あなたは、どなたでしたかしらん」
「おや、もうお忘れですか。私は、捜査課長の大江山ですよ」
「ああ、そうだ。大江山課長でしたね。いや、これは失礼しました」
と、先生は、その失礼をわびたが、その後で首をかたむけ、
「しかし、どうもおかしいですね。僕がお目にかかった大江山さんは、もっとお年を
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