とです。我々は捜査陣を広げて、銀座怪盗(と課長はそう呼んだ)を探しているのですが、どうもわからない。彼をとらえないうちは、気の毒ながら千二少年を、ゆるすわけにはいかんのです」
新田先生も、それを聞いて、なるほどと思った。そこで、仕方なく、千二をぜひ、今自由の体にしてくれと、頼むことは、一時見合わせることにして、その代り、千二に一目あわせてくれるように頼んだ。
大江山課長は、まだ誰にも面会をゆるしていないが、特に新田先生には、それをゆるすことになった。
じめじめとしたうすぐらい留置場で、先生と教え子とは、手に手をとりあって泣いた。あまりの情なさとなつかしさに、どちらも言葉は出ず、涙の方がさきに立ったのである。
やがて、先生は、しわがれた声で千二の名を呼んだ。
「おい、千二君」
「先生!」
「誰がなんと言おうとも、この先生だけは、君が悪者でないことを信じているよ」
「先生、ありがとうございます。僕は、うれしいです」
千二と新田先生とは、また強く手をにぎりあった。
「先生、聞いてください。あの丸木という怪しい人が、僕を、僕の村からこの東京まで、むりやりに連れて来たんです。そうして、
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