っ、地球は、ちゃんとしているのですか。モロー彗星は、地球に衝突しなかったのですか」
 千二は、とどろく胸をおさえて聞いた。
 四月四日の十三時十三分十三秒に、モロー彗星は地球に衝突するはずだった。ところが、今は、その時刻をすぎているのに、地球はあいかわらず、きらきらと天空に輝いているのであった。
 なんという意外な出来事であろう!
「ああ、ゆめを見ているのじゃないかなあ」
 新田先生は、うめくように言った。
 千二も、地球はかならずこわれるものと思っていたので、こうして地球が、ちゃんとしているのを見ると、ゆめのような気がしてならなかった。そのとき、蟻田博士が、しんみりとしたこえで言った。
「非常な幸運であったといえる。モロー彗星は、当然地球に正面衝突するはずだったのだ。ところが、思いがけないことがおこった。それは、モロー彗星が地球に衝突する前に、月がモロー彗星の方へ近づき、両方で引張りっこをはじめたのだ。だから、モロー彗星は、地球のそばまで来て、もうすこしでぶつかるというところで、月のために軌道が曲ってしまったんだ。だから、地球は、あやういところで、モロー彗星に衝突されないですんだのだ
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