。それから、もう一つは苔があった。たいへん大きな苔だ。それが地面の上をはいまわっている。
「気味のわるいところだなあ」
と、千二が、なおもかんしんして、その林の中をのぞいていると、その時、へんなものが目にはいった。
林のおくの方から、むぎわら帽子が、ゆらゆらと宙をとんで、こっちへ来るのであった。
「あ、博士。へんなものが林の中にいます」
と、千二は思わず声を立てた。
「へんなものって、どれかね。どれだ」
千二は、宙をとんで来る、むぎわら帽子をゆびさした。
「ああ、これか。これは丸木じゃないか。丸木がとうとうやって来たぞ」
「どうして、このむぎわら帽子が丸木なんですか」
「だって、帽子の下をごらん。目が光っているじゃないか。丸木のからだが、みどり色だから、みどりの林の中では、帽子だけしか見えないんだよ」
「ああ、そうか」
博士に言われて、千二は林の中を、もう一度よく見直した。とたんに千二は、あっとおどろきの声をあげた。林の中には何があったのであろうか。
蟻田博士と新田先生と、そうして千二少年とが、いかめしい服を着て立っている前に、とつぜん、ぬっと顔を出したむぎわら帽の火星人は
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