ガス砲をうって、二人を殺すようなことがあっては、たいへんだ。だから、ガス砲は使ってはいけないのだ」
 と、博士は先生をいましめた。
「でも、やがて、こっちへ火星兵の大軍が、攻めて来ましたら……」
「まあ、心配するな。わしに、まかせておきなさい」
 と、博士は、どこまでも落ちついている。
 千二は、たえずテレビジョンの映写幕に気をつけていた。火星兵のすがたは、すっかり消えてしまった。残るは岩山ばかりであった。見るからに気味のわるい、火星の風景であった。


   68[#「68」は縦中横] いばる丸木


 千二は博士のすることを見ていたので、テレビジョンをうごかして、他の場所を映写幕のうえに、うつして見ようと思い、ハンドルをぐるぐるまわしてみた。
 岩山は、映写幕の中でうごきだした。そうして、林のようなものが映写幕の中にはいって来た。
 林といっても、千二の目には見なれない木ばかりであった。松やかえでの木などを見なれた目には火星の木は珍しい。そこに見えている木は、どこか、つくしんぼうを思わせた。つまりつくしんぼうのような大木なのであった。木はふしがついていて、すぎなのような葉が出ている
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