ガス砲をうって、二人を殺すようなことがあっては、たいへんだ。だから、ガス砲は使ってはいけないのだ」
と、博士は先生をいましめた。
「でも、やがて、こっちへ火星兵の大軍が、攻めて来ましたら……」
「まあ、心配するな。わしに、まかせておきなさい」
と、博士は、どこまでも落ちついている。
千二は、たえずテレビジョンの映写幕に気をつけていた。火星兵のすがたは、すっかり消えてしまった。残るは岩山ばかりであった。見るからに気味のわるい、火星の風景であった。
68[#「68」は縦中横] いばる丸木
千二は博士のすることを見ていたので、テレビジョンをうごかして、他の場所を映写幕のうえに、うつして見ようと思い、ハンドルをぐるぐるまわしてみた。
岩山は、映写幕の中でうごきだした。そうして、林のようなものが映写幕の中にはいって来た。
林といっても、千二の目には見なれない木ばかりであった。松やかえでの木などを見なれた目には火星の木は珍しい。そこに見えている木は、どこか、つくしんぼうを思わせた。つまりつくしんぼうのような大木なのであった。木はふしがついていて、すぎなのような葉が出ている
前へ
次へ
全636ページ中590ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング