のは、なかなか落ちて来ないのであろう。すると地球の上では、つまらないふき矢も、ここでは強い兵器だ。
 ふき矢問答はつづく。
「博士、ふき矢が火星の上では、なかなかつよい兵器だということは、わかりました。しかし、どうして、このふき矢を使えばいいのでしょうか」
 と、千二は、ふしぎそうに言った。
「なんでもない。口でぷうとふけばいいのさ。お前たち、とくいのふき矢ではないか」
 千二は、そこが問題だという顔で、
「だって、博士。こんな酸素かぶとを、かぶっていたんでは、ふき矢を口にあてようとしても、あてられないではありませんか」
 博士は、なるほどとうなずき、
「ああ、そのことかね。それは、しんぱいなしさ。かぶったままでも、らくにふけるのだよ。かぶとの中に、口のあたるところがある。そこへ口をつけるのさ。それから、ふき矢の口は、かぶとの外に穴がある。ほら、ここのところだ。口よりすこし下のところに、へそみたいなものがあるだろう。この穴にあてればいい。そうして、口で、ぷうとふけば、ふき矢は、ちゃんとあたりまえに、とんでいくのだ。わけなしのことだよ」
「ああ、そうですか。なるほど、この穴ですね」
 と
前へ 次へ
全636ページ中579ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング