らん」
先生は首をかしげて考えこんだ。
すると、しばらくして、また千二が言った。
「先生は、火星へいったことがありますか」
「いや、いったことなんかないよ。第一、人間が火星へいけるなんて、よっぽど先のことだと思っていた。そうして、たとえ人間が火星へついたにしろ、大空艇から出て、火星の表面をあるくのは、なかなかむずかしいことじゃないかねえ」
「そうですか。火星と地球とは、気候やなんかが、ちがうのですね」
「ああ、たいへんちがうのだ。空気はあるけれど、非常にうすい。一日のうちに、たいへん寒くなったり暑くなったりするのだ」
「それじゃ万一火星へついても、だめですね。ぼくたち人間は、火星におりても、いきがくるしくて、死んじまいますね」
千二少年は、こまったような顔をして、新田先生を見た。
「そういうわけだね。丸木など火星人たちは、地球へくるについて、たいへん用意して来た。ドラム缶のような固いいれもののなかにはいり、地球のつよい大気の圧力が、自分たちのからだに、じかにあたらないようにしているのだ。それほどの用心をしてこそ、あのように、地球の上を、らくに歩いたり、平気でくらしていたのだ。だか
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