ら、逆に、われわれが、火星の上におりて、安全に生きているためには、やはり用意がいるわけだね」
「用意というと、やはり何か着るのですか」
「もちろん、着る必要もあろうし、第一、空気がうすいのだから、酸素のはいったタンクのようなものを、持っていく必要があるとおもうね」
「先生、ぼくは、そんなものを持っていませんが、じゃあ、火星へおりられませんね」
「持っていないのは、千二君だけじゃないよ。先生だって、持っていない」
「じゃあ、博士は持っているでしょうか」
「ああ、博士かね。そうだなあ、博士は、火星にいたことがあるというから、きっと持っているとおもうが、はっきりしたことはしらない」
「先生、こんなことは、ないでしょうか。火星へついて、博士だけが下へおりて、いってしまう。あとに、先生とぼくとは、いきがくるしくなって、死んでしまう……」
「そんなことがあっては、たまらないね」
と、先生は、ちょっと顔をくもらせたが、
「あ、そうだ。わたしたちの前にもう一人、火星へいっている男がいるのだよ。あの男はどうしたかしらん」
「へえ、ぼくたちの前に、火星へいっている人があるのですか。だれです、その人は……
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