博士は、髪のかたちをととのえ、すっかり若くなって、座席についた。先生も千二も、それを見てにこにこしている。いよいよ一同の意気は高い。
 映写幕には、外がうつっている。まっくらな中に、うす桃いろの丸木艇が、うつっている。博士は、目盛盤を動かして、ピントを合わせた。
 丸木艇が、くっきりと、映写幕の上にうつった。
「丸木艇は、いよいよ、火星へにげてかえるつもりだな」
 と、博士は、うめくように言った。
「博士、どうなさいます」
「どうするとは?」
「丸木艇に、おいつけますか。おいつけないときは、地球へ戻るのですか、それとも、あくまでも、丸木艇をおいかけていくのですか」
「どこまでも、追いかけていくのだ」
 博士は、はっきり言った。
「え、すると、火星までいくのですか」
「そういうことになるかもしれない、もしこっちが、追いつけなければ……」
「はあ」
 先生は、おどろいて、博士の顔を見直した。
「博士、火星へいくのですか。おもしろいですねえ。一度、いってみたいと思ってたんです」
 千二は、にこにこ顔であった。
 先生は、笑う気持になれなかった。火星旅行は、地球の上の飛行機の旅のように、
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