くねらえ」
「はい」
大空艇は、またもや空中に反転して、丸木ののった宇宙艇を追う。
「あっ、丸木が、窓からのぞいて、こっちを見ていますよ」
千二が叫んだ。
「え、どこに。どの窓か」
博士は、テレビジョンをつけた。配電盤上に、雑誌をひろげたくらいの四角な映写幕が、みどり色に光り出し、丸木艇をうつし出す。
「一ばん、あたまのところです。うす桃色に光っている窓から、丸木がのぞいています」
博士は、テレビジョンの倍率をたかめて、しきりに映写幕にうつる像を大きくしていく。
「ああ、これか」
博士は、うなずいた。円い窓に、一つの奇妙な顔がのぞいている。それは、丸木のほんとうの顔だった。つまり耐圧服をぬいで、素顔をみせているのであった。奇妙な火星人の顔であった。
眼は大きく、くちばしのようなものがとび出し、ひたいのところからは、触角のようなものがぶらさがっている。丸木は火星人としては、かなりの年寄だ。
宇宙艇の窓から、丸木の目が、あやしくうごく。くちばしが、ぶるぶると、ふるえるところまでが、よく見える。
「なにか、しゃべっているのだな」
と、博士は、宇宙艇の丸窓を大うつしにうつし出し
前へ
次へ
全636ページ中521ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング