先生は、博士の方を見る。
「うしろは、ほうっておけ。うしろから来てもかまわん」
「大丈夫ですか、博士」
「大丈夫だ」
 と、言っているとき、大空艇は、突然烈しい震動をはじめた。
 がらがらがら、がたがたがた――と、今にも、大空艇が、ばらばらになってしまいそうに、烈しく震動する。
「博士、あの音は……」
「あの音か。あれは、うしろから来た火星の宇宙艇が、怪力線を、わが大空艇に、あびせかけたのだ」
「えっ、この艇に、怪力線が命中したのですか。そいつは、たいへんだ。艇はこわれてしまうのではありませんか」
「大丈夫だと、いくども言っているではないか」
「しかし博士、怪力線という奴は……」
「心配するな。そんなこともあろうかと、わしは、わが大空艇の外に、怪力線よけの遮蔽網をはっておいた。あの音は、その遮蔽網が怪力線を吸いとる時に出る音だ」
「ああ、そうですか。それは、よかった」
「おい、撃て、新田。あと三台の敵艇を、はやいところ、片づけろ」
 今、かれとわれとの戦闘は、火のように熱している。
 二台はうちおとされ、のこる三台の火星の宇宙艇は、にげるかと思いのほか、さらにはげしく蟻田艇におそい
前へ 次へ
全636ページ中510ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング