士は、地底深くはいって、例の十号ガスの製造に一生懸命になっていて、その他のことは、一切打棄ててあったのである。矢ヶ島運動が発見されたのは、その間の出来ごとであったのだ。素人天文家の大手がらであったのだが、その時は、誰もそれが大手がらであることに気がつかなかった。何しろ、もうあと数日後に地球が崩壊するという時のことだから、皆、かあっとのぼせていて、そんなことを静かに考えてみる人もなかったし、矢ヶ島その人は、ある予想はしていたものの、たいへん内気な人で、自分のような素人が言いだして、もしも間違っていたら申訳がないと、つまらぬ遠慮をしていたわけであった。
矢ヶ島運動が、後にいかなる重大な事件をおこすか、それについては、今しばらく書くことをとどめていなければならない。
新田先生も、この時は少しぼんやりしていたと言える。しかし、それも仕方がないことだった。先生は、蟻田博士が、人類のために断然立って、火星人と戦うと言ったので、嬉しさのあまり先生も、のぼせあがっていたきらいが、ないでもなかったのだ。
それで先生は、その間何をしていたかと言うと、しきりに食料品を集めていたのである。これから宇宙へ
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