飛出して、火星兵団と戦うことになれば、ずいぶん地球を離れることになろうから、その間、博士におなかをすかさせては、一大事だと思ったからである。……ある朝、突然、蟻田博士は部屋へ戻って来た。約束どおり、三日の後のことであった。
53[#「53」は縦中横] ガスピストル
蟻田博士が帰って来た。
それは、約束にたがわず、ちょうど三日目のことであった。
「あ、博士。うまくいきましたか」
新田先生は、何よりもまず、そのことを聞かずにはおられなかった。
「ああ、まずうまくいったつもりだ。これから毎日、十トンずつの十号ガスの原液を作り出せることとなった。これだけあれば、火星人と戦っても、まず大丈夫だろう」
「ほう、そんなにたくさん出来ますか」
と、新田先生は目を円くした。
一体、どこまで蟻田博士はえらいのだか、そのえらさ加減は、底が知れない。知らない者から見れば、博士はまるで魔術師のように見える。しかし博士は魔術師ではない。六十年近くというものを、研究にささげたそのとうとい努力の結果である。
「その十号ガスの原液は、どこにあるのですか」
「水道のように、管から出るようになってい
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