送した。
「皆さん、月が怪しい運動を始めていますから、どうか御注意下さい。月がどうかしているのです。今は、たった百分の一秒とか、百分の二秒とかですが、この先、この異常運動がどういう風に変って行くか、注意していただきたいのです。もっと申し上げたいのですが、今は、このくらいにしておきます」
矢ヶ島天文台は、たった百分の一秒の程度ながら、月が怪しい運動をしているから、注意をしてくれというのだ。
(モロー彗星・地球・火星と、この三つのものを考えなければならない地球人類にとって、この上、月のことまで心配させられてたまるものか)
と、あざわらう人もあれば、おこる人もあった。
人々のそういう声は、矢ヶ島天文台にも聞えぬはずはなかったが、この天文台長たる素人研究家の矢ヶ島君は、悪口には平気の平左で、月のことを熱心に研究して、人々の注意をうながしているのであった。
また或る時、矢ヶ島天文台は、こんなことを言出した。
「皆さん、いよいよ月に注意していただきとうございます。月は、一日のうちに二度、異常運動をしていることがわかりました。そうして、異常運動はごくわずかですが、はげしくなって行くようです。
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