っていることはどうもおかしい。安い品物を買集めている人にしても、やはり同じように、気がどうかしているのであった。
たまに、まじめなことを言出す人があっても、誰もそれを本気で耳にとめる者はいなかった。モロー彗星は日毎夜毎にぐんぐんと大きくなり、それを見ていると、誰に説明を受けなくても、地球と正面衝突するであろうということが、誰にもわかりすぎるほど、わかったのである。
(もはや、さけることの出来ない悲しい運命だ!)
誰も彼も、そう信じていた。
天文台では、一日二十四時間、近づくモロー彗星の観測と記録とに、かかりきりであった。
台員の数は、前に比べると五分の一に減ってしまった。非常に熱心な台員だけが、やがて自分の死も忘れ、それから今とっている記録もやがて灰になることさえ、あまり気にとめないで、手不足の中に観測をつづけていたのであった。
天文台はじまって以来、これほどすばらしい観測材料がころがりこんだことは、前例がなかった。
各国の天文台におけるモロー彗星観測の結果の中で、重要なものや、ひどく興味のあるものは、ラジオやテレビジョンでもって、ただちに天文台の名とともに放送された。
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