「えっ!」
 新田先生は、自分の耳をうたがった。
(新田、だまってついて来い!)
 と、博士は言って、先に立った。
 新田先生は、博士の言葉つきの中に、何かしら、いつもと違った感じを受取った。
 博士は、部屋の片隅にある犬のくぐり戸のようなまるい形の扉をあけて、次の部屋へ這《は》いこんだ。先生も、そのあとに続いた。
 這いこんだところは、紫色の電灯がついていたが、実に奇妙なところであった。まるで、鉄管の中にはいったような感じがした。なぜまあ、このように変なところばかりが、あるのであろうか。
 先生の前には、博士が、ごそごそと音をさせて這っていく。後から声をかけたくて、しかたがなかったが、博士におこられてはたいへんと、先生はがまんして、あとからついていった。
 二メートルばかり、いったところで、小さな部屋に出た。部屋というよりは大きな樽の中にはいったという感じである。
 曲面をもった壁は、にぶい金属的な光をもっていた。この部屋の中にはバンドのついた腰かけと、天井から吊革のようなものが、ぶら下っているだけで、外に何もない。
 博士が、何かごそごそやっているうちに、先生の後で、ぎいっと音がし
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