先生が首をかしげている時、高声器からの声は、また一段と声をはり上げて、
「……火星のやつに、気を許すな。火星のやつは、どんなひどいことでも、平気でやるぞ。ゆだんするな。火星のやつは、ありゃ動物ではないんだ!」
火星の人間は動物でない――などと、へんなことを言出した。
「おお、あれは佐々刑事の声に違いない!」
と、新田先生は、すっかり興奮してしまった。
「何じゃ、佐々刑事? この、しおから声を出している人間は、あのがむしゃら刑事じゃったか」
博士はちょっと驚いた様子だ。そうして、「ふん、おもしろくもない」とスイッチをぷつんと切ってしまった。とたんに、佐々の声は聞えなくなった。
「あっ、スイッチを切っちゃいけません。もっと私に、その先を聞かせて下さい」
新田先生は、博士に迫って行った。
「こんなものを、聞くことはないよ。今さらこんな世まよいごとを聞いて、何のたしになる! モロー彗星は、もう間近に迫っているのじゃ」
博士の口ぶりから考えると、佐々刑事の電話を新田先生に聞かせたくないらしい。博士は、切ってしまったスイッチを、再び入れようとはしないのだった。
新田先生は、老いたる師の
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