ついてふりかえると、いつの間にか博士は、おくの壁についている丸窓のような形のとびらをあけ、もう一つおくの部屋にはいって、先生をさしまねいているのであった。はたしてそのおくの部屋には、何があったであろうか?
(早くしないと、もう見えなくなるぞ)
 と、蟻田博士は、奥の部屋から新田先生をよぶ。一体何が見えるというのであろうかと、先生は、丸窓のような形をした入口をくぐって、博士のそばへ近よった。
 室内は暗かった。暗室なのだ。
 ただ、標示灯のあかりが、ぼんやりと機械の一部を照らしていた。それはのぞき眼鏡のようなものであった。博士の手が、そのあかりの中にあらわれて、のぞき眼鏡のようなものを指す。
「おい、新田。この中をのぞいて見ろ」
 蟻田博士の声だ。姿は見えないが、声だけ聞える。うすきみがわるい。
 先生は、博士の手が指さすのぞき眼鏡のようなものに、目を近づけた。
「右の横につまみがある。それを廻して、焦点を合わせるのだ」
 先生は、そののぞき眼鏡の奥に、何だか、ななめになった光り物をみとめた。しかしそれは何であるかわからないので、右手の指でつまみをさぐって廻してみた。
 すると、その光り
前へ 次へ
全636ページ中389ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング