とは?」
「つまり、博士はいい人だとか、悪い人だとかいうことです」
「さあ、そんなことは、うっかり言えないがねえ」
と、課長はつつしみ深い口ぶりで、
「ここだけの話だが、前には、蟻田博士は、おかしいと思っていたんです。しかし、こうして博士の予言通りに火星兵団が攻めて来た今日、私は博士はおかしいとばかり、きめてしまうわけにはいかんと思う」
大江山課長は、前のことを思い出しながら、しんみりと、ただ今の気持を先生に話した。
「じゃあ、蟻田博士が、とうとい大学者であることを、大江山さんはみとめたわけですね」
「まあまあ、それに近いと思って下さい。だが、我々は博士について、全く気を許してしまうわけにはいかないと思っている」
「え、気が許せないというのですか。それはまた、なぜです」
「それはつまり、これもここだけの話だが、蟻田博士は、火星のスパイではないかと、そんな気もするのだ」
大江山課長は、蟻田博士が火星人のことなどをよく知っているが、火星のスパイではないかと思うと言う。
それを聞いていた新田先生も、実は、自分の先生である蟻田博士が、いい人であるか、それとも悪い人であるか、はっきりわか
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