刑事が火星のボートに乗って、宇宙にとび出したことを知らない。先生が知らないくらいだから、大江山課長が知るはずがない。
「では、もう一度、私が山へ上ってみましょうか」
 と、先生は言出した。
「いや、それはいけない」
 と、大江山課長は強く言って、
「佐々は、火星人に殺されてしまったのかも知れないのだ。この上あんたが行って、またそれっきりになったら、どうして火星人を攻めて行ってよいか、見当がつかなくなる」
「だって、私などが……」
「いや、この上は、火星人のことを少しでも知っている者は、大事にしておかなければならない」
 先生は、その時、はっと気がついた。
 蟻田博士のことを。
「大江山さん。蟻田博士のその後の消息は、わかりましたか」
 大江山課長は、帽子のあごひもをしめ直しながら、
「その蟻田博士のことなんだが、我々も、一生懸命にさがしているんだが、手がかりなしでね、全く残念なんだ。博士が見つかれば、我々は、きっと何か火星人について、大切なことが聞出せると思うんだが……」
 と、ほんとうに残念そうに言った。
「大江山さん。あなたは、蟻田博士を、どう思っているのですか」
「どう思っている
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