いが、これから果して彼はどんな目にあうことやら……。


   36[#「36」は縦中横] 脱出


 話は変って、こっちは新田先生であった。
 先生は、今はうたがいもなく火星兵団の一隊長であるところの、怪人丸木の恐るべき人間狩の話を聞き、今はもう、ぐずぐずしていることは出来ないと思ったので、先生はくらがりを幸いに、洞穴をうしろにして、山を下りにかかった。
 先生は、肩に大変貴重な品物をぶらさげていた。それはほかでもない、あの変話機だった。それを使えば、火星人の話が、人間の言葉に変って、耳に聞えるという不思議な機械だった。
 先生は、くらがりの山の斜面を、ずるずると二、三メートル下っては休み、耳をすました。誰か、自分の後を追いかけて来ないであろうかと、先生は、心配であった。別に、そのような音がしないのをたしかめると、先生は、またずるずると二、三メートル下って、また耳をすますのであった。もし今火星人に見つけられたら、今度こそ、人間の世界へはもどれないであろう。
 その心配は、時間と共に、だんだん薄らいで行った。火星人は、先生が逃出したことに気がつかないらしく、誰も追いかけて来るものはなか
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