。
我が日本について考えてみても、これは全く意外な出来事であった。また、そうなるまでの事情はともかくも、いいことではなかった。我が日本は昔から、日本本土を敵に占領されたことはなかった。いくら地球外に住んでいる火星人の襲来だからといって、本土の一部を占領されたことは、決していいことではない。新田先生は、闇の中にたたずみながら、くやしさに涙をぽろぽろと落した。
たくさんの火星のボートは、何《いず》れも皆着陸が終ったらしい。空中を飛ぶあの大きな音も、もう聞えなくなった。そうして、火星のボートは、船体から例のうすもも色の光を出して、あちこちに塔を並べたように立っていた。
時々妙な怪音が、ひとしきりやかましく耳を打つのであったが、それは、今着いたばかりの火星人たちが、点呼を受けているのであろう。
今度はかなりたくさんの火星人が、着いたらしいのであるが、その割に騒ぐ様子もなかった。
(ははあ、それでみると、火星人はかなり教育程度が進んでいると見える)
と、新田先生は、心の中でひそかに、そう思ったのであった。
先生は、この上は、何とかして、ここを抜出して、この一大事を出来るだけ早く、警察
前へ
次へ
全636ページ中308ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング