っきり見てしまった。でも、思いの外やわらかく大地へ突きささった。何かよい方法があって、大地に近づくとともに、スピードをゆるめる仕掛がついているらしい。
 そのうちに、また次の新しい火星のボートが降って来た。一隻ではなかった。二隻、三隻、四隻……いや、数えているひまがない。おどろくべきたくさんの火星のボートは、百雷が一時に落ちる時のように、巨大な光と音とを立てて、空中から舞いおりた。雨と風とは、いよいよはげしさを加え、雷はしきりにあたりの山中に落ちた。
 火星のボートと落雷と、どっちがどっちだかわからないような、恐しい光景であった。
「ああ――」
 と、新田先生は、ため息をついて、全身を雨に打たれながら、もの陰にたたずんでいた。一体これからどうなるのであろうか。


   34[#「34」は縦中横] 火星兵団


 大雷鳴の中に、山梨県の山中に着陸した火星のボートは、その数およそ五、六十隻であった。
 これこそ火星兵団の敵前着陸だ。
 しかるに、地球の人類は、この恐るべき兵団を、やすやすと着陸させてしまったのである。もっとも、誰がこのような火星兵団の襲来を、あらかじめ考えていたであろうか
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