行ったのであった。
「今だ!」
 先生は勇気を出して、またもや、穴の入口の方へ向かって、這って行った。まるで、もぐらのような、かっこうであった。
 しばらく夢中になって、這って行くうち、また前方から光りものが現れて、ぱっとこっちを照らした。
「ちょっ、しまった!」
 先生は、今度はいよいよだめかなと思ったが、もう一度と、またぞろ身をひるがえして、壁に体を押しつけた。
 すると、とたんに先生の体は、ずるずると壁の中にはいってしまった。
「ああっ!」
 先生は、声をあげたが、もう遅かった。先生の体は、もんどり打ってころげ込んだ。
 いよいよ深い底なし井戸へでも、落込んだのかと思ったが、気がついてみると、先生は、うすあかりのともった小さい部屋の中にいた。かくし部屋だ。いや、よく見れば、そこは倉庫みたいなところで、いろいろなものが、ごたごたおいてあった。その中に、先生の目にふととまったのは、黒い長マントと黒い帽子とであった。よく見れば、黒眼鏡もあるではないか。
 先生はあることを思いついた。
 黒マントに黒帽子に黒めがね!
 新田先生は、それをじぶんの、からだにつけた。すると、先生は、すっかり
前へ 次へ
全636ページ中304ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング