、先生の耳のせいか、だんだん大きくなって来るようであった。火星のボートが、ますます近づいて来たのであろう。
 ひゅう、ひゅう、ひゅう。
 ぷく、ぷく、ぷく、ぷく。
 妙な声を立てて、火星人たちが、騒ぎ出した。新しくやって来る火星のボートの着陸の用意で、大変いそがしくなったのであろう。
 新田先生は、その時、またもや穴の奥から、そろそろと這出して行った。
(今こそ、脱走するのに、もって来いの時だろう!)
 この騒ぎのうちに、先生は監禁の手からのがれたいと思ったのである。
 穴の中から外の方へ、そろそろと這って行ったが、幸いにも、さっきの番人がいたところに、誰もいない。
「しめたっ!」
 新田先生は、番人のいないのを幸い、どんどんと、穴の中を這って前進した。
 すると、とつぜん目の前に、ぴかっと光りものがした。
 そうして、火星人から奇妙な叫び声をあびせかけられた。
「あっ、見つかったか」
 先生はおどろいたが、かねて覚悟をしていたこととて、いきなり身をひるがえして、後へ戻ると、壁にぴたりと体をつけた。とたんに後を、風のように行きすぎたものがあった。火星人が、先生の跡を追って、穴の奥の方へ
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