どのように、わしは、彼らの陣営に忍びこむなんてことは、出来なかったろうねえ。何が、幸いになるかわからない。はははは」
 なるほど、佐々刑事の言う通りであった。しかし、彼は、なんという豪胆な刑事なんであろうかと、先生は、改めて感心した。


   33[#「33」は縦中横] 大襲来


 新田先生は、佐々刑事から火星人のことについて、もっとたくさん聞きたかったが、その時、佐々は何かの音におどろき、
「じゃあ、また後で、もう一度来る!」
 と言捨てたまま、新田先生をそこにおいて出て行ってしまった。
 穴の中は、またもとの闇にかわった。そうして、また心細いこととなった。
 それから、かなり長い時間が過ぎた。
 新田先生は、穴の中で空腹を感じながらも、今に何ごとかが、起るだろうと待構えていた。
 その時刻のことは、はっきりしなかったが、とにかく、かなり夜更《よふけ》になって、新田先生は、ごうんごうんという遠雷のような響を耳にした。
「あっ、いよいよ来たなっ!」
 と、先生は、穴の中に、居ずまいを直した。火星のボートが、いよいよこの山中目がけて、やって来たのであろう。
 ごうんごうんという怪音は
前へ 次へ
全636ページ中302ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング