は最後の勇気を出して、自分の鼻の先に迫って来た丸木の顔を、ぐっとにらみつけた。
「おや!」
この時先生は、非常におどろいた。急にくらくらと目まいを感じたほど、おどろいたのであった。
それは一体なぜだったろう。
丸木の眼は、いつも黒く色のついた眼鏡をかけていることは、誰でも知っている。今丸木はマントの下から手を出して、その眼鏡をとったのである。すると、その下から二つの眼が現れて、くるくると動いた。――生きている目だ!
火星人もそうであるように、怪人丸木もよく自分の首を下に落した。
ぽっくり下に落ちる火星人の首には、目玉がついているけれど、先に先生が発見したように、その目玉はガラス玉同様で、決して生きている人間の目玉のように動きはしないのである。ところが今、丸木の目玉が、くるくるぎょろぎょろと動いたので、先生は、びっくりしてしまったのだ。なぜ急に丸木の目玉が、生きている人間の目玉のように、動き出したのであろうか? 丸木だけが火星人として、特別仕掛のにせ首を持っているのだろうか?
先生は、丸木の動く目玉に、気を失いそうなくらいおどろいた。全く丸木という奴は、なみなみならぬ怪物だ。
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