い。うしろに集って、丸木と新田先生との話を、熱心に聞いていた火星人たちは、一時に立って先生に向かって来た。
「な、なにをするっ」
 先生は、近よる火星人たちを、しかりつけた。
 しかし、相手は大ぜいであり、こっちは一人である。もうどうすることも出来なかった。あっという間に、先生は、両手両足を、火星人たちに取られて、真暗な奥の方へ、引きずりこまれてしまった。そうして、やがてどさりと柔かい土の上に、なげだされた。
「あっ、いたっ!」
 先生は、腰骨のところを、したたかに打って、痛さのあまり、しばらくは、呼吸《いき》が出来ないほどだった。
 先生は、ぐったりとして、地上にへたばったまま身動きさえしなくなった。
 それから、どのくらいたったか、わからない。そのうちに、先生は、ふと、眠りから、目ざめた。冷たい、ひやりとした土が、先生に、
(さあ、しっかりして下さい、先生)
 と、励ますように、思われた。このしっとりとした土さえ、やがて間もなく、数十億年もすみなれた故郷を、奪われてしまうのだ。先生は、なんだか、涙もろくなってしまった。
 先生は、起上った。
 逃げることが出来たら、逃げだそうと思っ
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