こした時、先生は火星人の胸についている大きな二つのボタンに、ぐっと睨まれたように思ったのである。
ボタンに睨まれる?
そんなことがあっていいであろうか。とにかく、確かに大きな二つのボタンに、睨まれたような気がしたのであった。そうして確かに、そのボタンはぐるぐると目玉のように、動いたのであった。
「ああっ」
先生は思わずさけび声を立てて、もう一度その目玉のように動く大きなボタンを見た。すると、どうであろう。奇怪にも、今の今まで見えていた二つのボタンは、あとかたもなく消えて、火星人の胸は前のように、ドラム缶のように固い表面があるきりだった。
この時火星人は、す早くはね起きた。
気味の悪い火星人と組みうちをやって、新田先生は、いろいろと不思議な目にあった。火星人の首が、今にも落ちそうになっていたことや、その火星人の声が、肩のあたりから聞えたことや、それからまた、火星人の胸に、目玉のように動く大きなボタンがちらと見えたと思ったら、また直ぐなくなってしまったことなど、どれ一つとして、不思議でないことはなかった。
火星人の体には、いろいろの、ひみつがあるらしい。少くとも地球の人類が持っ
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