はかなり崩れ、また火事が十数箇所から出て、中にはたいへん広がったところもあったが、多くは、日頃訓練のとれている警防団や、隣組などの働きで、余り大きくならないうちに消しとめられた。一番被害の大きかったのは、水道と電気であった。これは、元のように直るのには、約三箇月もかかった。
 どちらかというと、東京地方の震災は、それほどさわがれなかった。それは震災の程度が軽かったというのではなく、その時別に、もっとたいへんな、しんぱいになる事件があったのである。それは外でもない、モロー彗星が、いよいよ地球の近くに迫ったことであった。
 東京だけではない、日本国中は、その日に対する準備のため、上を下への大さわぎであった。工場という工場は、昼と夜との交替制で、たくさんの技術者を使って、宇宙旅行に使うロケットの製造に目のまわるような、いそがしさであった。
 日本だけではない。ドイツもイタリヤも、イギリスも、アメリカも、ロシヤも、フランスも、それから満洲も、中国も、大さわぎである。
 足の下に踏みつけている地球が、こなごなにこわれてなくなるのだというから、これほど恐しいことは外にない。
 一体、地球の上の人類
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