うように受取って、すぐさま箱の中に入れてしまった。
 博士は、気のどくなくらいがっかりして、
「たった一日でいいが、貸してくれんか」
「いや、だめです」
「じゃあ、もう十分か二十分か見せてくれんか」
「だめです。お断りします」
「そんなら、ぜいたくは言わない。もう五分間見せてくれ」
 課長は博士の頼みをあくまでもしりぞけた。そうして箱にふたをしてしまったけれど、箱を元の金庫にしまうことはしなかった。
「ねえ、博士」
 博士は、箱をじっと見つめて、よだれをたらさんばかりであった。返事もしない。
「ねえ、博士。さっきあなたは国際放送をお聞きでしたか。地球がモロー彗星に衝突するという……」
 課長のこのだしぬけの質問は、博士を驚かせるに十分であった。
「なに、地球がモロー彗星に? そんなことは、わしには前からわかっていたが、誰がそんなことを君の耳に入れたのか」
「国際放送ですよ。ロンドンとベルリンとからです。どっちもりっぱな天文学者が放送しました」
「ふうん、そうか。あいつらもやっと気が附いたとみえるのう。それで、わが日本では、誰が放送したのかね」
「まだ誰も放送していません」
「なぜ放送し
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